思考の補助線6つのまとまり
「やってるのに伸びない」の中身を分解する

やってるのに伸びない ― 受験勉強で起きていること

やってるのに伸びない(高校・大学受験)

「授業は分かるのに、問題が解けません」

聞いて分かるのと、何もない状態から出てくるのは別のことです。授業中に「分かった」と感じた回数は、思い出せた回数ではありません。

「一夜漬けで、すぐ忘れます」

一度に詰めると、直後だけ強くなります。同じ総時間でも、間隔をあけて何度か触るほうが残ります。

「過去問は解けたのに、模試で落ちます」

見覚えで当てた問題が混ざっています。正解した理由を言えないものは、形が変わると落ちます。

「「分からない」が何なのか、自分でも言えません」

止まったこと自体は分かるのに、何に止まったのかが言葉になりません。名前がないものは、次に会っても同じものだと気づけません。

なぜ対策本で直らないか

「分からない」には3種類あります。知らない/やり方を知らない/読み違えた。対処が全部違うのに、まとめて「分からない」で処理している。

この順でやります

  1. 見て分かるのと、思い出せるのは違う閉じて思い出せるか
  2. 詰まりの種類を切り分ける「分からない」の中身を切り分ける
  3. まぐれ当たりを見つける当たった問題こそ、理由を言えるか
  4. 覚えるものと、引くものを分ける覚えるものと、引けばいいもの
  5. 忘れかけた頃に復習する忘れかけた頃にもう一度
  6. 結果と判断を切り離す模試の判定と、判断は別
  7. 書いてある強さのまま受け取る「必ず」「一部の」を、そのままの強さで
  8. 文の骨組みを取り出す設問の主語を取り違えない

使うのは 読む・聞くの2つ、学ぶの6つ考える・数える・伝える・決める には、この目的では触れません。

ここで扱わないもの

各科目の内容(英単語・古文文法・数学の解法・年号)
志望校選び・受験戦略・塾選び
合格の約束
「これをやれば、点は上がりますか」

このサイトは、点数を上げません。上げるのは、同じ時間で残るものの量です。中学生は「学ぶ」だけ、小学生は対象外です。

もう少し詳しく

タップすると開きます。

「もっとやれ」では、なぜ変わらないのか

伸びないと相談したときに返ってくる言葉は、だいたい「もっとやれ」と「理解が浅い」の2つです。どちらも的外れではないのですが、聞いたあとに次に何をするかが決まりません。教科書を読み返して「分かった」と思って閉じるやり方は、時間を倍にしても残る量はあまり増えません(「見て分かるのと、思い出せるのは違う」)。

「理解が浅い」のほうは、言われた側にできることが「もう一度読む」しか残らず、上の話に戻ってしまいます。ここで要るのは浅い深いの話ではなく、切り分けです。知らないのか、やり方を知らないのか、書いてあることを読み違えたのか——この3つは、次にやることが全部違います(「詰まりの種類を切り分ける」)。

どのくらいで、何が変わるのか

名前を受け取るところまでは、数分です。1問解いて間違えると、その間違い方に名前がついて出るので、効いたかどうかを、後日まで待たなくていいのがこの形の利点です。そのあと増えるのは、読み返して終わりにしていたところで一度閉じる、正解した問題でも理由を言えるか確かめる(「まぐれ当たりを見つける」)といった小さい確認が1つか2つで、覚える量が減るわけでも、勉強時間が短くなるわけでもありません

点数や判定については、約束できることがありません。科目の中身を一切扱っていないので、英単語も古文文法も数学の解法も出てきません。模試の点が、ここだけをやって上がるとは言えませんが、一度落ちた間違い方にそのあと何回出会って何回避けられたかは記録に残り、差が出ていなければ、出ていないと表示されます

中学生が読むなら、ここだけでいい

主に想定しているのは高校生ですが、中学生が使うなら「学ぶ」の10操作だけにしてください(小学生には本人が解くものを用意していません)。順番は 「見て分かるのと、思い出せるのは違う」 → 「詰まりの種類を切り分ける」 → 「まぐれ当たりを見つける」 → 「覚えるものと、引くものを分ける」 → 「忘れかけた頃に復習する」で、1日5問で足ります。

一方、「必要と十分を区別する」 や 「AならB」の逆と裏を見分ける」 には、中学生には手ごわい文章が混じります。解けなくても、それは学力の話ではなく、扱っている文章が社会人向けだからです。素材には社内規程や会議の記録といった会社の書類が出てくるので、問うている中身は同じですが、遠く感じるのは事実で、そこはまだ直っていません

同じ詰まり方は、受験のあとにも出ます

大学に入ると、就職活動で筆記試験を受けることになります。そこで落ちる人の多くは、対策が足りないというより、「AならB」の逆と裏を見分ける」 の逆と裏や 「必要と十分を区別する」 が曖昧なままです。資格の勉強を始めた人が止まるところも、たいてい 「見て分かるのと、思い出せるのは違う」 と 「まぐれ当たりを見つける」 で、受験のときに詰まった形は、そのあとも同じ形で出てきます

もともと受験用に作ったものではなく、社会人が仕事で詰まるところを41に分けたうちの、受験に効く部分を抜き出しただけです。たとえば 「結果と判断を切り離す」 は、受験の結果が出たあとにこそ出番があります。ただし、これを「今勉強しておけば将来得をする」という話にはしません——先で効くと言われても、今伸びていない人の助けにはなりません

この順で解いてみる 先に自分の得意と苦手を知る(12〜24問・15分)
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