資格に2回落ちた ― 足りないのは勉強時間ではないかもしれない
2回以上落ちている/時間のわりに伸びない
テキストを読み返しているあいだは、答えが目の前にあります。試験のとき、テキストは閉じています。練習でやっていることと、本番で求められることが違う。
詰め込みは直後がいちばん強く、そこから落ちていきます。落ちきってからやり直すより、忘れかけた頃にもう一度触るほうが残ります。
正答率のなかには、「分かって当てた」と「見覚えで当てた」の区別が出てきません。同じ中身が別の言い方で出た瞬間に落ちます。
なぜ対策本で直らないか
予備校は範囲を教えますが、詰まり方は教えません。「もっとやれ」で直らないのは、量の問題ではないからです。
この順でやります
- 見て分かるのと、思い出せるのは違う読み返しは、思い出す練習になっていない
- 覚えるものと、引くものを分ける覚えるものと、引けばいいものを分ける
- 忘れかけた頃に復習する忘れかけた頃にもう一度
- まぐれ当たりを見つける正解した理由を言えるか
- 書いてある強さのまま受け取る条文の「以上・未満」「原則として」
- 必要と十分を区別する「必要」を「あればOK」と読まない
- 「AならB」の逆と裏を見分ける「AならB」から「BならA」は言えない
使うのは 読む・聞くの1つ、考えるの2つ、学ぶの4つ。数える・伝える・決める には、この目的では触れません。
ここで扱わないもの
このサイトは各資格の内容に一切踏み込みません。法改正も範囲も扱いません。扱うのは詰まり方の型だけです。
もう少し詳しく
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「もっとやれ」では、なぜ直らないのか
2回落ちたときに受ける助言は、「勉強時間が足りない」と「理解が浅い」の2つに収まります。ですが、時間を増やしたときに実際に増えるのは、たいてい読み返した回数です。読み返しているあいだ答えはずっと目の前にあるので、閉じて思い出すという練習を、一度もしないまま本番を迎えていることになります(「見て分かるのと、思い出せるのは違う」)。
「理解が浅い」のほうは、多くの場合、正解した問題を点検していないことを指しています。丸がついた肢が、なぜ正しくて残り3つがなぜ違うのかを言えないままなら、言い回しが変えられた瞬間に落ちます(「まぐれ当たりを見つける」)。どちらの助言も、外から見た結果の言い直しであって、内側で何が起きているかを指していない、というだけです。
どのくらいで、何が変わるのか
ここを解いても、その資格の点は直接には上がりません。範囲も法改正も扱っていないので上がりようがなく、覚える量そのものも減りません。最初の1回で分かるのは、「見て分かるのと、思い出せるのは違う」「覚えるものと、引くものを分ける」「忘れかけた頃に復習する」「まぐれ当たりを見つける」の4つのうち自分がどれで止まっているかで、5問ずつ解けば15分ほどで見当がつきます。
この4つを易・中・難まで一通り解くと60問、1日5問なら2週間ほどです。法律系でさらに「書いてある強さのまま受け取る」・「必要と十分を区別する」・「AならB」の逆と裏を見分ける」まで足すと105問、3週間ほどになります。変わるのは点ではなく、過去問のあとに丸のついた問題を数問抜き出し、なぜ他の3つが違うのかを声に出す手が1つ増える程度で、それが次の1回に間に合うかはこちらからは言えません。
法律系の資格なら、条文の読み方から入ります
社労士・宅建・行政書士・司法書士のように条文を扱う資格では、「学ぶ」の4つに加えて、もう3つが直接に効きます。1つめは「書いてある強さのまま受け取る」、です。「以上」と「超える」、「原則として」と無条件——条文はこの強さの差で書き分けられ、選択肢はその差だけを入れ替えて作られるので、テキストを読む段階で強さを丸めて覚えてしまうと、選択肢の側では戻せません。
2つめは「必要と十分を区別する」、3つめは「AならB」の逆と裏を見分ける」です。「承認された、ということは要件を満たしていたはずだ」は、条文からは出てきません。ただし各法の中身には踏み込まず、素材は架空の規程や案内で、法改正への対応も、判例の解説も、ここにはありません。
ここで身につくものが、仕事のどこで効くか
「学ぶ」の10操作は資格のために作ったものではないので、同じ形は資格以外にも出てきます。社内の研修やeラーニングで、受けたのに使えないという状態は、「見て分かるのと、思い出せるのは違う」とほぼ同じ形をしています。もう1つは次の資格で、1つ目に受かったやり方が良かったのか、たまたま範囲が狭かっただけなのかは、分けて見たほうがいいところです(「結果と判断を切り離す」)。
ここでやっているのは、覚え方とふり返り方に名前をつけることだけです。頭がよくなるとか、考える力そのものが鍛えられるといった主張はしません。効く範囲を狭く見積もっておいたほうが、次にうまくいかなかったときに、どこが外れたのかを探しやすくなります。