思考の補助線6つのまとまり
「報連相ができない」の中身を分解する

「報連相ができない」の中身 ― 新人研修の前に

報告が要領を得ない(会社向け)

「報告が要領を得ません」

聞かれた形で答えていないか、いつ・どこの話かが抜けているか、のどちらかです。話す量の問題ではありません。

「指示を取り違えます」

主語が省略された指示を、そのまま読み進めています。「誰がやるか」が書かれていない文が、いちばん危ない。

「議事録に意見が混ざります」

決まったことと、決まっていないことが同じ列に並んでいます。後から読む人には、区別がつきません。

「「言ったつもり」「聞いたつもり」が起きます」

依頼の目的を確かめないまま、推測で進めています。「〜でよいですよね」は、相手が否定しにくい聞き方です。

なぜ対策本で直らないか

研修で「報連相をしましょう」と言っても変わらないのは、どこが壊れているかを名指ししていないからです。

この順でやります

  1. 文の骨組みを取り出す指示の主語を取り違えている
  2. 事実・意見・伝聞を見分ける聞いた話を、事実として伝えている
  3. 問われたことに、まず答える聞かれた形で答えていない
  4. いつ・どこの・何の話かを添えるいつ・どこの話かが抜けている
  5. 決まったことと、決まっていないことを分ける決まったことと、決まっていないことが混ざる
  6. 依頼の目的と、足りない情報を確かめる依頼の目的を確かめていない

使うのは 読む・聞くの2つ、伝えるの4つ考える・数える・決める・学ぶ には、この目的では触れません。

ここで扱わないもの

ビジネスマナー
敬語
メールの型
「研修の代わりになりますか」

なりません。ビジネスマナーも敬語もメールの型も扱いません。分かるのは、誰がどこで詰まるかまでです。そのぶん、全員に同じ研修をしなくてよくなります。

もう少し詳しく

タップすると開きます。

「もっと報連相を」では、なぜ変わらないのか

現場でよく言われるのは「もっと報連相を」「メモを取れ」「主体性を持って」の3つです。どれも量を増やす助言で、どこが抜けているかを名指ししていないので、言われた側は直しようがありません。同じやり方で10回報告すれば、抜けている項目も10回抜けます。

「メモを取れ」と言われる人は、たいてい取っています。抜けているのはいつの話か・誰が決めたのかで、これは 「いつ・どこの・何の話かを添える」 と 「決まったことと、決まっていないことを分ける」 が抜けた状態です。「先方に確認しておいて」で確認するのが自分か先輩かを取り違えるのも、理解の深さではなく 「文の骨組みを取り出す」 をしているかどうかで決まります。

どのくらいの時間で、何が変わるのか

この用途で使うのは、42ある操作のうち6つです。1操作あたり15問、1回は3〜5分で、6つを通して合わせて1時間ほど。研修の1コマぶんの分量です。

ここで起きるのは詰まった場所に名前がつくことだけで、1時間解いたら報告が通るようになる、とは書けません。変化がいちばん早く見えるのは、じつは指摘する側で、「報告が分かりにくい」としか言えなかったものが「いつの話かが入っていない(「いつ・どこの・何の話かを添える」)」に変わります。続けて解けば1時間ほどで問題がなくなるので、配属前に一度、数か月たってもう一度くらいの使い方が現実的です。

指示を出す側にも、同じ操作が効きます

「言ったつもり」「聞いたつもり」は、指示を出す側と、受ける側の両方で起きています。「例の件、先方に確認しておいて」には、どの件か・いつまでか・何をもって確認済みとするかが入っておらず、「いつ・どこの・何の話かを添える」 が抜けた状態です。本来は 「依頼の目的と、足りない情報を確かめる」 で聞き返せる場面ですが、聞き返せるかどうかは、新人の側の技術だけでは決まりません。

そのため、新人だけに解かせると、指示の側の抜けが、新人の失敗として集まります。OJTを担当する先輩や受け入れる部署も同じ6つを通しておくと、指摘が「分かりにくい」から「どこが抜けたか」に変わります。どちらが悪いかを決めるためではなく、抜けた場所を両方が同じ言葉で指せるようにするための話です。

新人研修のあとにも、同じ6つは残ります

この6つは新入社員向けに選んだ並びですが、中身は新人限定ではありません。「決まったことと、決まっていないことを分ける」 は議事録だけの話ではなく、決まっていないことが決まったこととして先へ流れれば、社内でも社外でも、あとで戻すのに費用がかかります。「事実・意見・伝聞を見分ける」 がいちばん効くのはトラブルの一報で、「〜らしいです」と「確認しました」が混ざった報告では、受け取った側が判断できません。

ただし、ここで扱うのは受け取り方と返し方だけです。交渉や調整、文章そのものを書く力は入っていません。若手が資格をとると言い出したときに要るのは「学ぶ」の10操作のほうで、この用途では扱いません。

この順で解いてみる 先に自分の得意と苦手を知る(12〜24問・15分)
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